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ウィステリアNEWS 2005                                             


接着剤の安心と安全   2005年12月

 今回は接着剤の話をしたいと思います。
当工房では主に酢酸ビニール樹脂接着剤と水性ビニールウレタンの接着剤を使っています。酢酸ビニールは昔からある通称木工ボンドと言われている物で安全性においても一応の基準をクリアしてF☆☆☆☆の表示があります。水性ビ二ールの方も乾くとほぼ無害になると言われています。(基準内だからって100%安全とは言い切れないのが残念なところですが)

 木工ボンドは、組み立て時のホゾ穴や組み手に使い、強力な接着力の水性ビニールは板の矧ぎ合わせに使っています。どちらも集成材や合板、フラッシュの家具から比べたら少量しか使っていません。両方共に年間消費は2〜4kg程度です。(家具工場の何十分の一の量)

特に組み立ては接着剤に頼らず組み手の嵌め合いで強度を出す方が長持ちするという考え方なので少量しか使いません。
本当は接着剤も天然素材の膠(ニカワ)等を使えば何も問題がないのですが使い勝手が悪く今では廃れてしまいました。
今の所、健康面の安全性と接着力からベストな選択だと考えています。


リユース(再利用)等のお話  2005年10月

 ここ数年、お客様「手持ち材」の再加工等のお問い合わせが多くあります。
 これは、リフォームやリサイクル・リユースを扱ったTV番組や新聞雑誌が多くなった事も関連してきたのではと思ったりし、非常に良い傾向だな〜と感じております。
 これからの時代、天然資源の枯渇が目の前に来ている現実、良品であり、かつ持続可能な木材資源の再利用は木材加工者の責務だとも思っています。
 でも、実際の仕事では「持ち込み材」の加工は非常に大変なのです。どの様な経緯で材になったのかハッキリわからないので不安だし、なにせ代わりがないので失敗が許されないのです!!
これはマジで神経を使います。墨付けや刃物入れの一刀に勇気が要りますし、時間も掛かります。その前には再々再々位の確認をしています。

 そしてその製品ですが、材料はお客様のお持ち込みですから無料ですが、加工賃やその他の作業量は当方の材料を使った家具よりも手間が掛かる為高くなってしまうのが現実です。
(製品の値段)ー(材料費)とはならないことをご了承下さい。
また、天然素材の為無理なことも多々あり、入念な打ち合わせが必要です。ご理解下さい。


新作の額   2005年10月

刳り抜き額 これまで、定番商品として販売してきた刳り抜きの写真Lサイズ用の額の在庫切れを機にリニューアルして発売しました。
これまでの額はとにかくシンプルでナラ材の質感を活かしたもので、その為価格も抑えることが出来好評ではありましたが、ちょっとシンプルすぎて物足りないな〜と考えていましたので、この際はデザイン以外にも製作工程や冶具も作り変えて作ってみました。
材料も今回からタモ材をメインにし、その他少量ですがウォールナットやホワイトアッシュも使って製作致しました。
機能はこれまで通り壁掛け、直置き、縦、横どのようにも飾れます。デザインは前面が軽いRになっており木口、木端面が80度の角度が付いています。
価格は6,400円と値上がりしてしまいましたが、シンプル・スタイリッシュで自信を持ってオススメ出来る物に仕上がりました。
 次のリニューアルは刳り抜き額のSサイズの予定です。


これもオーダー家具 2  2005年7月

ヨムノム この家具は建築士であるKさんから依頼された本棚です。
名前は「ヨムノム」で本や飾り物の収納の他にワインを斜めにして置けるラックが別に作ってあります。(右上の段)
「本をヨム」と「ワインをノム」で“ヨムノム”なのだそうです。(設計者命名)

 この依頼はCADによる図面作成、樹種の選定や面の取り方まで設計者の指定による製作です。

 この様にプロによる注文も私共では行っておりますし、ここまで具体的ではない一般の方のイメージスケッチからの製作も出来ます。お気軽にお問い合わせ下さい。


ボランティア貯金箱  2005年7月

 昨年秋より始めた「ボランティア貯金箱」+「お小遣い」で第1回目の森林再生育成基金に寄付を致しました。(少額ですが・・・)

 まず「ボランティア貯金箱」の説明ですが、ちょっとした板の切断や穴あけなどの用事を依頼された時や端材の販売等、ウィステリアの仕事として料金を頂くのはちょっと・・・と思うときにお気持ちを入れて貰う募金箱で、仕事として自然素材の貴重な大径木を使わせて頂く者として、せめてもの恩返しに森林の育成等の基金に協力したいと思い設置致しました。皆様機会がありましたらご協力ください。

 そしてその寄付ですが、以前寄付した事のある「知床100平方メートル運動の森・トラスト」で、世界自然遺産登録の記念日に募金致しました。
この運動、当初は知床の自然を守り回復させる為に離農農家跡地100平方メートルを1口8000円の寄付で買取していく運動でしたが、ほぼ97年には達成したので今では森林の再生保全に力を入れている運動です。

 前回の寄付はもう10年も前の95年で、帯広の木工科に入る前の休職期間に知床のウトロで旅宿の手伝いや漁師のヘルプで2ヶ月間滞在した時でした。
その時はお手伝いのお礼で頂いたお金を、自分の為ではなく大好きなこの土地の為にと言う思いからでした。これは純粋な部分と言うよりも「自然の宝庫」で美しいイメージで訪れ暮らしてみたら、実際河川は堰堤ばかりで魚は遡上出来ず魚影が薄いし、海で漁をすれば魚網にはたくさんのゴミが入ってきました。
そんな体験をし、純粋に綺麗で美しい自然というイメージは崩れましたが、上手く自然と調和してこれ以上ダメージを与えず共存していければ良いのでは・・・と感じた事による募金でした。

 今回は移行した活動である森林育成活動への協賛と世界自然遺産登録のお祝いを兼ねて募金をしました。
回報によると昨年の活動は防鹿柵設置、モニタリング調査、植樹苗育成の他広葉樹約1300本、針葉樹800本の植樹活動を行ったと記してあります。


やはり気になる湿度  2005年6月

 この季節、以前にも書きましたがやっぱり湿度が気になります。
室内でも冬から約10〜20%ほど湿度が上がっていますが、無垢材オイル仕上げの家具はよ〜く伸びるんです。
テーブルなんかは幅方向に年間3〜8mm位伸縮しているんですよ。(でも長さ方向はほとんど変わりありません。)

製作の時十分考え材の水分をコントロールしたり構造を工夫したりしていますが、室内環境によっては予想以上に動きトラブルになる事があります。
これは「住環境が悪いですよ」と言う家具から発するシグナルです。
出来れば各部屋1つ温湿度計を置き、温度だけではなく湿度にも気を配っていると、家具の為だけではなくそこに住む人の環境を整えることにもなるのです。

 多湿によるカビ・ダニ・結露などいろいろ問題がありますが、これまで数件あった事例では新築マンションの特に北側のお部屋は多湿傾向にあるようです。
その場合換気に気を付けるとか除湿機を可動するとかの対処も必要です。
(ちょっとしたアドバイスでした。)


これもオーダー家具!?  2005年5月

踏み台 このスツールは踏み台として使うためにご注文いただきました。
お客様の身長に合わせた高さにし、反り台鉋で天板に軽く掘り込みをして滑らないようになっています。 
その他裏面に手掛を掘ったり意匠の為耳付き材を使用したりといった工夫をしています。
 この様にオーダー家具と言っても箪笥やテーブルのような大きな物じゃなくっても良いのです。
日常でこんな物があったら便利かな〜何て思ったら、お気軽にお声を掛けて下さい。
木のものなら何でも作りますョ。


デザインしない   2005年2月

丸スツール 写真の丸スツールを見て、どう感じるでしょうか?何の変哲も無い個性の無い物と感じたのではないでしょうか?

そう思った人は正解です!!

製作した私が“デザインしない”物を作ろうと考え形にしたものだからです。これまで、木工を始めまだ日の浅い私が、どうにか自分の形を作ろうと努力して来ましたが、原点に立ち帰り「永く使われる物ってどんな物だろう?」とふと考え問いかけてみたくなって製作したものだからです。

 デザインしていないと言っても考えていない訳ではないのですよ。円の大きさやバランス、面の処理等のディテールは検討した結果なのです。

 そして出来上がり眺めてみると、こんな単純な物ほど良く言う普遍的で、永く飽きずに世代を超え使われるのでは・・・?と思ったりしています。


卓袱台修理  2005年2月

 先月久し振りに家具リフォームのご依頼を頂き、卓袱台の修理、再生を行いました。

 お客様から“オマカセ”で頼まれていましたので、責任重大で悩みましたが、材の状態やコストを考え天板のみを再利用し脚部は新品にする事に決めました。
 結果天板裏に修理の埋木が出来てしまいましたが、写真のようにほぼ新品状態に蘇えりました。(新品の製作をする以上に時間が掛かってしまいましたが・・・)

 この仕事をして感じたのは、昔の人は今ほど豊富に工具(特に電動工具)がなくとも工夫して時間をかけ何とか形にし、だからこそ日々大事に使ってきたのだなと仕口の加工や表面の汚れ、磨り減った角などを見て感じたのでした。

 この様に私共の作った家具が数十年〜百年後の職人に修理され又息を吹き返して永く使い続けて行ってくれれば嬉しく思うし、願うなら修理の職人に「良い仕事しているな」と言わせられれば最高!!などと想いを巡らせるのでした。

卓袱台(古) 卓袱台(新)表 卓袱台(新)裏

展示会のお知らせ  2005年1月

 一昨年の11月に引き続き、高島屋新宿店での2回目の展示会を開催する事になりました。

 展示内容はダイニングセット、学習机セットなどの他、新作としてチェスト、和風食器棚などを予定しておりますが、展示スペースの関係で、若干変更もあるかと思います。前回同様、クラフト小物も多数出品致します。。

是非、ウィステリア家具工房の作品を手に触れ、ご覧頂きたいと思います。
なお、小木工品は即売もしますし、家具についてのご相談もお受け致します。

   【会場】  新宿高島屋
          10F クリエイティブ工房 
   【会期】  2/17(木)〜22(火) 午前10時〜午後8時
          ※21日(月)は午後6時まで、22日(火)最終日は午後5時閉会