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家具の話
                    



                

1 私の思う良いテーブル ・・・・・・ その製作
2 難しい椅子          ・・・・・ その製作
3 シンプルな学習机     ・・・・・・ その製作
4 チェスト[箪笥]         ・・・・・ その製作


1.私の思う良いテーブル
ダイニングセット(外)
テーブルと言っても、ダイニング用や座卓、リビング用のコーヒーテーブル、広い範疇では学習机などもこの中に入るのかも知れません。

形も丸や四角、たまには三角なんかも作ったことがあります。脚も四本脚や板脚などなど様々ですが、結構多い注文なのです。

その注文の場合私としては極めてシンプルな長方形四本脚をまずお薦めして反応をみるのですが、まあ皆様、様々なお考えを持っていますね。
(だから注文家具屋に相談に来ている訳ですが・・・)

これまでのライフスタイルや考え方が各人、各家庭で違いお話を伺うとそれは楽しいものです。

でも、ご夫婦で考えが一致しない事も多々あり困惑してしまうこともあります。

テーブル以外の家具の場合はご夫婦でどちらかこだわりの強い方のお話を強く参考にしてプランを詰めて行く事が多いのですが、テーブルの場合は部屋の中心になりイメージをガラっと変えてしまう為十分話し合い、また私の個人的な思いもお聞き頂き、値段も含めた“良いテーブル”をおすすめしています。

私が思う良いテーブルとは、ダイニングテーブルに絞って言うと、まず「大きい事」で次に「年月と共に風合いの出る物」である事が重要で、その他はお客様のお好みで・・・と言う感じです。

「大きい」と言っても6畳の部屋に2000mm×1000mmのテーブルは無理ですが、お部屋の中で可能な限り大きいテーブルが使い勝手が良いと思っています。

さっきも書きましたがテーブルは部屋の中心になり、またここに家族の皆が集まってくる団欒の場なのです。

もちろんテーブルですから最も大切な事は食事ですが、その他にも小さいお子様が居るご家庭ではお絵描きや工作などもここでやりますよね。

お母さんは食事の他、家計簿付けやちょっと一休みの雑誌を見る時間にも、そのほかにも趣味の製作や裁縫などにもこのテーブルを使っている方が多いのでは?と考えます。

それと、その他の家事でも大きいテーブルは大活躍です。

私は男ですので日常的には家事をやっていませんが苦手な洗濯物たたみや仕分けにテーブル一面を使い、済ませます。

お父さんはテーブルが広ければ新聞も大きく広げて読めるのです。家では満員電車の様に小さく新聞を折り畳まず読みたいと思いませんか?

その他、来客が来た折には広いテーブルに感謝すると思いますし、良いテーブルなら自慢にもなります。

そんなこんな色々とありますが、多目的にテーブルを使う場合、普通のテーブルより“ちょっと低目”が良いのです。

既存の椅子との兼ね合いもありますが、だいたい2〜4センチ低い65〜68センチという高さが非常に具合が良いのです。

低いので圧迫感が無いし、リラックスして多用途に使えます。

冬場に嬉しい鍋の時なんか、テーブルが低ければ立ち上がらなくても具がちゃんと見えるのです。

それと、もう1点の「年月と共に風合いの出る」点ですが、これは昔見たテーブルが強く印象に残っているのです。

それはもう10年以上前で家具を作る以前の事で、詳細は忘れてしまいましたが、そのテーブルは1枚の写真に載っていました。たぶん雑誌に載っていたような記憶があります。

大きさはたたみ1畳程でアメリカかヨーロッパの農家の食卓テーブルでした。
農家といっても調度品やそのテーブルを見ても豪農ではなく、その当時は一般的で、今と比べればかなり質素な感じなのですが、石敷きの床の食堂に置いてあるそのテーブルは4枚ほどの板が数ミリの隙間をおいて並べただけの天板で、きっと農作業の合間か冬の農閑期にでも手作業で作ったものなのでしょう。

どうみても良質ではない針葉樹の松かなんかで素人が簡単に作った物なのですが、美しいのです。
きっと製作してから50年〜100年は経ったのでしょう。
角は擦れ丸くなり、天板は無数の大小の傷がありボロボロなのですが、長い年月に付いた色が深く染み込み、大事に手入れされながら使われてきたことが想像出来ました。

この1枚の写真が私の中でベースとなっているのです。
それは家具作りのベースでもあり、自分の思い描く生活のベースでもあるのです。

今の日本では安価で安直な製品を大量に生産して、安いがうえに簡単に購入し、簡単に廃棄するという生活、何の不思議にも思わずそんな生活を過ごしてきた自分を恥、このようなテーブルのある生活の方が本当は豊かなんだと感じたのでした。

実際、現在の日本で質素、倹約に努め良品を永く使うという生活は難しいのかもしれませんが、どこか頭の片隅において置ければよいのでは・・・と感じています。

そのような理想のテーブルの姿が私の頭にはあるので、お客様からご注文を頂き、そして納品の折には「細かいキズなど気にしないで、おおらかな気分でお使い下さい」とアドバイスしています。

お手入れも理想を言えば年1回はオイルを塗ってあげた方が良いのですが、それも使う人の気分で気になってきてからでも大丈夫、故障の心配はありませんと言っております。

だってプロの我が家で使っているオイル仕上げの座卓も、かれこれ3年以上な〜んにもお手入れせず毎日水拭きをしていますが問題はないのですから・・・。


 テーブルの製作

これは何といっても材の選択に尽きると言ってもよいでしょう。

これを間違えると雰囲気が全然変わってしまいますし材の使い方によっては故障の原因にもなってきます。

一般的には天板もしくは甲板と呼ばれる板は高齢、大径木で素直な木目のものが良いと言われていますが、私のような極小事業所では豊富な在庫も持てない為、手持ちの材から最適なものを選び出す訳です。

普通は矧ぎ合わせと言って、数枚の板を幅方向に接着して天板を作るのですが、その時の材選びには本当に苦労します。

天然物の板は、長さこそ基準がありますが、幅なんかはバラバラだし、木目にいたっては同じ樹から板にしても変わってくるほど千差万別で選択には知識・経験と共に勇気や根気も必要です。

時には数枚の板を前にして腕組をして数時間考え込んでしまうこともあります。いや数時間というのは大げさですが悩み始めたら進まないので、大事な天板は後回しにして脚や貫きなどの部材の木取りを済ませてから、再度天板予定の材に戻りベストな選択を考えるのです。

でも、なかなか合う板って少ないのです。まず最初にテーブル幅を均等に分けた幅の板を選びます。この場合幅は家具のカタログなどでは奥行きと書かれている寸法で「テーブルの対面する方向」を指します。天板の幅が800mmなら400mmの板2枚か267mmの板3枚もしくは200mm板4枚となる訳です。

幅が800mmなので350+350+100ではバランスが悪くなってしまいます。
なるべく等しい幅で木目が素直で似た色であり、節や白太と呼ばれる辺材が入ってない板が望ましいのですが、そんな条件の合う物って少ないのです。

言ってみれば容姿端麗、性格も良し、そしてお金持ちの結婚相手を探すようなものです。

こんな「良い例」を出せば苦労が分かってもらえますよね・・・?

さて、そんな伴侶 じゃなくって天板が見つかったら、組み合わせを考え、軽く表面を削って放置し様子を見るのです。それをシーズニングと言っていますが、その間に反る性質のあるモノは反らせ、曲がる性質のあるモノは曲がらせて、製品後の狂いを最小限にするのです。

私の場合はシーズニング期間を最低でも2週間はみています。

そして、製作に入るのですが、もうこの状態で仕事の70%位は終わっていると言えるでしょう。あとは図面通りに正確に加工すれば良いのですから・・・。

ああ、テーブル製作で重要な部分を忘れていました。
それは正確な加工で作ると言う部分ですが、テーブルには天板の伸縮を逃す「吸い付き蟻桟」という部材を天板下に2本取り付ける事があるのですが、これが難しく細心の注意を払い加工しないと、その用をなさないのです。

天板裏面に台形の溝を掘ってそれに合わせて削った棒材を滑り込ませる構造なのですがスーと全体の5分の4入って最後の1を押し込めるという微妙な感覚に仕上げなければ効きません。

仕事の波に乗って半日仕事、調子が悪いと1日いっぱい掛かる事があります。

それもこれもオイル仕上げのテーブルの場合、梅雨の湿度の高い時と、真冬のカラカラに乾いた季節では幅で3〜8mm程度伸び縮みしている為、それに対応するにはこういった加工をしなければ壊れてしまうのです。

ほんとに厄介な仕事ですが、それが木工の醍醐味であり、達成感・満足感に繋がる部分だと思いながら加工をしています。



2. 難しい椅子
椅子は色々な要素が複雑に絡み、なかなか難しい製作物です。

現在、数点デザインし時間のある時に試作をして製品化したいと思っているのですが、いろいろと自分に言い訳を付け、図面止まりで試作に入れないでいます。

展示会でも決まれば重い腰を上げ製作に入るのですがね。

 椅子をデザインするうえで、重要な点は「スタイル」「強度」「座り心地」 そして「価格」だと思いますが、それらをすべてクリアするオリジナルの椅子が出来たら最高なのですが、世の中には星の数ほどの種類の椅子が存在するわけで、それらに似ないオリジナリティある椅子なんていうそんな無謀な挑戦をしても無理じゃないか?と最初から考えてしまう為製作が進まないのかもしれません。

そして最近は、公募展等で入選するような独自性のあるものを作るより、さっきも書いた「スタイル」「強度」「座り心地」が一定レベル以上で「価格」もそこそこの椅子で“若干”私の個性が感じられれば、それでOKなのでは?と思っているのは、ここの所あまりにも椅子の受注が少なく弱気になっているからでしょうか?

 これまで作った椅子で自分の中での自信作はリビング用の安楽椅子で、座はクッション材に布張りで背はウォールナットのスピンドル(丸棒)の椅子です。

両肘で作れば1人用、片肘で2個作ればベンチ(ソファー)にもなるもので、フレキシビリティな所と座り心地の良さは市販のソファーと比べても遜色ないし木の質感が活かされていて良いと思っています。

実際に展示会でもご好評を頂いているのですが、価格がネックになっているのか?なかなか注文が取れません。
安楽椅子
この椅子は、デザインベースが※1 ジョージ・ナカシマの木の質感を活かした和の雰囲気に※2 ハンス・J・ウェグナー氏の得意とする構造を取り入れ、融合させたもので、ただの物真似ではなく自分なりに咀嚼して出たデザインだと思っています。
ちょっとは自信があったので以前公募展に出品してみたのですが、見事1次で“選外”と言う名誉の通知を頂きました・・・。

それと、ダイニングチェアーではペーパーコード張りで3本の横背板の椅子がお気に入りです。
ダイニングチェア(ペーパーコード張り)
これは、北欧風でシンプル、軽量、高耐久性+座り心地と言うコンセプトでデザインして製作したもので、それらに充分及第点を与える出来だと思っていますが
ダイニングチェアーとしては若干価格が高い為ダイニングセットでのお買い上げが少ないのが残念な点です。

まあ、値段が巨匠ウェグナーの“Yチェアー”のブナ製より数千円しか安くないのでは皆さん一寸考えてしまうのもしょうが無いところです。(内緒ですが複数ご注文の場合は大幅値引きをしているのですよ)

※1 ジョージ・ナカシマ・・・1905〜1990年 日系の家具デザイナー。主にアメリカで活躍し、それまで木の欠点と言われた瘤などを積極的に活かしたテーブルや和の雰囲気を感じられる椅子を発表した作家で、後の家具作家に多大な影響を与えたと言われています。

※2
 ハンス・J・ウェグナー・・・1914〜 デンマークの家具デザイナーでYチェアーやザ・チェアーのデザインで有名。これまで500点以上の椅子を発表してきた家具・デザイン界の巨星。


 椅子の製作

椅子の製作工程は@デザイン→ A図面(1/5縮尺)→ B縮小モデル製作→ C原寸図面→ D原寸角度用椅子製作→ E実物の製作→ F問題があれば修正して再製作

以上の工程で進むのですが、書くだけでも面倒です。

ここまでやって売れなかったら悲惨です。家計は火の車です。

でも、頑張ってこれを続けて見本を作らないと、新たな注文が取れないと言う現実がある訳です。 そして木工家さんは日々貧乏暇なし状態が続くのでした。



3.シンプルな学習机
ウチの学習机、定番としてこれまで10数台、サイズや樹種、面取りなどを変え製作しています。

コンセプトは「子供の学習机から大人の書斎まで通用するシンプルなデザインで使うほどに味の出るモノを作ろう!!」でした。

 最初に学習机の注文をもらったのは身内で、姉の娘いわゆる姪っ子の為のものだったのですが、さて作ろうと意気込んでみたものの開業数ヶ月目の駆け出し木工家にはデザインはおろか構造も解からず困窮し、様々な書物やカタログそれと家具販売店に行って実物を見て調べたのでした。

 そこで感じたのは、小学校入学に合わせ購入する机はどう考えても大人が使えるデザインではない物がほとんどで、例えばそれらを買って子供部屋に置きその子供の父親がちょっとその机を借り仕事の資料の整理でもしている姿を想像すると、かなり無様な姿では・・・と考えてしまいました。

 これはもう造る側の人間が「子供の物なんだから、安くてとりあえずの実用性さえ満たしていればいいじゃないか。」それと「子供の机なんだから角をまる〜くして安全にしておけば無難でしょ」てな感じでデザインしているとしか思えないほど画一的かつ価格も横並びでポリシーも個性も感じないものがほとんどでした。
(今では比較的個性のあるものも増えてきたようですが・・・)

 そこで、折角作るのだから小学1年生から大人になるまで飽きずに使えるデザインで、逆に使えば使うほどに古臭くならず味の出る素材で作ろうと考えたのです。

その為には、どんな機能が必要で、どんなサイズが最適か、構造はどうすればよいか等々考えたところ、やはり机の基本は四本足で浅い引き出しが2個付いているのを基本形とし、あとはお好みで本棚を隣に置いても良いし、引き出しを置くのも可で、それらは別々の方が後々応用が利き便利なのではないかと言う結論に達し、非常にシンプルな形の学習机の初期型が完成したのでした。

今の学習机と違う点は細かい部分の構造と、引き出しのツマミです。

構造は、駆け出しの浅はかさと言うしかないほどに稚拙で無駄に手間を掛けただけで、現在と比べると強度的には低いものでした。それでも浅い経験ながらも丁寧に作ったので、かれこれ10年弱ノントラブルなのが救いです。

もう1点はツマミで、当時は旋盤の技術もなかったので市販の陶器製のツマミを付けたのが今になっては後悔する点です。

今では丸も四角も掘り込みも何でも自分で作っています。
折角のハンドメイド家具、デザイン上重要な点であり個性の発揮できる部分を市販の物で済ませては意味がないんじゃないか!と考えるようになりました。

 それと、忘れてはいけないのは椅子で、これは重要かつ難しいところなのであります。
子供から大人までの机なので椅子も同じコンセプトでOKと考えるのは浅はかで、無理があるのです。

そこで、無い知恵絞って私は考えたのですが、結論は「無理」でした。
一般的な学習机の椅子を参考に可変式の物を作るのは簡単ですが、その椅子に大人が座る姿を想像すると・・・・あぁこれも無様だな〜と思うのです。

そこで大人が座れるデザインで子供にはちょっと無理してもらおうと言う、割り切りのシンプルデザインの椅子を作り今でもセットで販売しています。

割り切りと言っても小学生の頃ってほとんど机に向かい勉強ってしないものなんですよね。大体がリビング等の親の近くで宿題をやっているようです。
これまで販売した親御さんにアフターサービスの折などに聞くと異口同音にそうおっしゃっています。それと机じゃなくて物置だとも・・・。

まあ現実はそんな感じなので身体が大きくなってからしっくり来る椅子をセットにし、お薦めしているのですが、ほとんどのお客様はご予算の関係なのか?机のみの単品で注文されます。(私の苦悩は何だったのかって話です。)
学習机セット

 学習机の製作
家具は、「箱物」と「脚物」に分けられるのですが、学習机は箱物寄りの脚物になります。
箱物とは、箪笥などの基本形が四角で引き出しや扉の付いた物を言います。
脚物は、テーブルや椅子などですね。

その両方を兼ねる訳ですから、初心者にはなかなか難しい製作物です。

最初の学習机の製作は経験不足の為かなり時間がかかったし、技術的な部分も手探りな状況でした。

構成は天板と脚そして引き出しになるのですが、天板は木目合わせや矧ぎと言われる幅接着が困難なところで、それと引き出し部の構造ですが、確実で強固な組み手と微妙な調節が初心者には難しい部分でした。

その後2作目3作目と作るに従い細かい部分の構造を見直し、強度アップと合理的な構造に改良していき、現在の形と構造になってゆきました。
そうして最近では、かなり自信を持ってお客様に勧めることの出来る作品の1つになったのです。



チェスト[箪笥]
チェスト
 これまで、小さいチェストは何個も作りましたが、大きないわゆる“箪笥”と言う物の受注は非常に少ないのです。

箪笥と言えば「桐箪笥」や漆塗り金具付きの「民芸箪笥」などが有名で、いまだに需要があるようですが、一般的には箪笥の必要性は減ってきているようです。
減るというよりも機能性のある安価な既製品で充分だと考える方が多いようです。

 それは、最近の住宅事情で、寝室に大きな物置(ウォークインクロゼット)を作り、何でもそこに入れられるし、誰に見せる訳じゃないので機能的な物で充分だと考えるのでしょう。
高価な注文家具を本人以外見ない、暗いクローゼットには普通入れないものです。
これまであった“お古の箪笥”で充分なのです。

そして、お部屋の中心の居間や食堂などの家具に予算が回されるのですね。
例外的には居間にインテリアと収納を兼ねてチェストが置かれる場合もありますが普通はプライベートなお部屋に置くことが多いと思います。

箪笥とは、比較的構造や機能が決まってきてしまう家具の為、家具作家やデザイナーの個性が発揮しづらい物なのかも知れません。
逆にキャビネットは機能よりデザイン、インテリア性が重要で、力の出せる製作物でしょう。
私も箪笥を作るときは、まず機能から入ります。お客様の入れたいものの寸法と、おおよその数を計算し設計します。
その後、ツマミなどのパーツやディテールの部分で自分らしさを出そうと考えるのです。

箪笥の製作

私としては、框組みの箪笥は結構作っていて楽しいし達成感があるので好きなものの1つです。
まず、木取りにおいては個性的な板よりも落ち着いた目の詰まった板を選びます。
これは板が反り変形したら引き出しがスムーズに開かないので、ここは充分に吟味しますがテーブル板の様に似た木目の組み合わせではないので、気分的には楽ですし時間も掛かりません。
ちょっと大変なのは引き出し前板で、ここが“顔”になるので、同じ板で全部揃えるか、上下などで似た板を探し組みあわせるかが思案のしどころなのであります。

 そして製作に入るのですが、特にシーズニングは時間を掛けます。 
シーズニングとは材の荒木取りから加工までの時間で、ここで焦って直ぐ加工を始めてしまうと板が動いてしまうのです。加工精度も悪くなるし、製品後も問題が出てしまいます。
その為その期間を2週間以上みています。

無垢材家具ってそこが肝要であり、面倒なところなのです。
例えば、狂いのない規格に沿った材が直ぐ手に入り加工が出来れば、かなり安く作れるし何も悩むことがないのですが・・・。
まあ、それは叶わぬ夢で、そこがなければ木の良さもないのです。

 シーズニングが終わったら加工に入るのですが、もうこれは確認・確認また確認なのです。
加工精度が製品のクォリティーに直結するので慎重にやります。
角ノミという機械、四角いホゾ穴を掘る物ですが、これはズレ易く精度が出にくいので、数個相対する穴をあけたら確認、そして加工、確認という感じに慎重にやります。

そして部材が出来たら組み立てなのですが、これは面白い!!木工・家具作りの醍醐味って感じです。
丁寧に加工すればプラモデル感覚で短時間で形になってゆきます。しかし失敗があると大変で大慌てで部材の再加工をしなければいけません。
工房立ち上げ直後はこの状況で「ああぁ〜違った!!間違った〜」って頭を抱え絶叫!!なんてことがよくありました。

組み立てが終わったら次は引き出しの製作です。
普通、図面通りに同時進行で引き出しも作っておけば一緒に完成するのにと思うかもしれませんが、これが無理なのです。
出来上がった本体に合わせ引き出しを加工しないとピッタリといかないものです。
その為、各引き出しに番号などをふってあり、合わないところに入れると微妙にガタでたりしますので、お気をつけ下さい。(市販品は寸法さえ合えばどこに入れても大丈夫!!だってどの引き出しも余裕がありますもの・・・)


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